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型技術 連載「巻頭インタビュー」

2025.04.23

人材育成・実用化・共同開発を3本柱に企業間連携で金属AMを日本に広める

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群馬積層造形プラットフォーム 代表理事/
共和産業㈱ 代表取締役社長
鈴木宏子氏

Interviewer
㈱ソディック 工作機械事業本部
レーザー加工機事業部 開発部 部長 兼 加工技術課 課長
松本 格氏

GAM の3 つの活動

GAM では金属AM 技術について「人材育成」、「実用化」、「共同開発」の3 つを大きな柱として活動しています。これらの取組みについて教えてください。

人材育成については、これまで金属AM 技術に関する教育プログラムの提供を行ってきました。金属3D プリンタとは何ぞやといった初歩的なところから、具体的なニーズに合わせた金属3D プリンタの活用手法までを実機を使って学ぶといったことなどです。企業の方々だけを対象とするのではなく、小学生から大学生までの将来のエンジニアに向けた、金属AM技術をからめたデジタルモノづくりについての教育プログラムも提供してきました。企業向けではこれまでに100 名以上の方が教育プログラムを受けていて、学生向けでは200 名以上にそうした啓蒙活動を行っています。
2 つ目の実用化については、実際に金属AM に取り組もうとする企業へのコンサルティングや技術サポートです。具体的に製造で困っている部分について金属AM を適用すべきかどうか検討を行うとともに、試作品の製造も含めて実用化をサポートしてきました。また、「こういうものをつくってみたいけれどつくれない」という相談から始まって、試作製造に至るケースもあります。試作製造について言えばこれまでに十数件の実績があります。
最後の共同開発では理事を務める企業を中心として「サロン」という場をつくり、会員企業が共同で研究開発を行ってきました。CETIM もここに参加しています。さまざまなテーマについて「金属3D プリンタを使ってこういう開発をした」といった発表会を行うなど、成功や失敗の事例などの情報を共有し蓄積しながら、ともに課題解決を目指すといった活動を行っています。
2024 年8 月に実施した小学生向け「デジタルものづくり体験学習」で金属3D プリンタを見学する様子(写真提供:GAM)

2024 年8 月に実施した小学生向け「デジタルものづくり体験学習」で金属3D プリンタを見学する様子(写真提供:GAM)

学生の教育が幅広く行えるのはおもしろいですね。製造業が変化していく中で、若い世代に興味をもってもらうことは重要だと思います。企業向けでもエンジニアが実機に触れられるというのはすごく大事ですね。

以前は金属3D プリンタに触ったことがないという人が多かった。こうした機械は自分で触れてみて実際にトライアルでモノをつくってみるということが非常に重要だと考えています。

私もそこを狙っていらっしゃるのかなと感じました。群馬県の補助金を使ってGAM で試作製造にチャレンジする企業もありますよね。金属3D プリンタにトライする際は初期投資が結構かかるのでなかなか簡単にチャレンジできない。GAM はそのハードルをすごく下げていると感じます。

そうですね。やはりトライアルをやらないとわからないことは多いです。金属3D プリンタはデータがあれば何でもつくれるというイメージをもたれがちですが、そこにはやはりノウハウや知識が必要になります。例えば、材料工学がわからないと金属3D プリンタでモノはつくれないということも使ってみて初めて気づく。ほかにも「これがわからないとできないじゃない!」というのがどんどんと出てくる。それは実際にやってみたからわかることなんですよね。

GAM の参加企業の中での協業の事例についてはいかがでしょうか。

当社の事例になるのですが、当社は医療分野にも参入していまして、独自開発した脳外科内視鏡手術用の精密鉗子を手がけています。ステンレス製の0. 2 mm 以下くらいの微細部品を含む20 点ほどのパーツで構成されていて、一品ものとして職人がそれらを加工するのですが、これを金属3D プリンタでつくれないかというのをCETIM と一緒に挑戦しました。CETIM はスイスで時計などの微細加工を多く手がける中で金属3D プリンタを活用していて、そのあたりのヒントをいただきながらチャレンジしました。現在、製造現場では徐々に職人がいなくなっているので、デジタル技術を活用して熟練技術を補っていきたいという意図です。金属3D プリンタだと素材から形状まで社内で一貫してつくれるというのもよいですね。

職人技をデジタルに落とし込むというのは今後もっと大事なことになってくるかもしれないですね。
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