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型技術 連載「巻頭インタビュー」

2024.10.23

金属AMをいち早く金型製作に適用 金型設計でのAMの標準仕様化を目指す―日本精機

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㈱日本精機
常務取締役
松原雅人氏

Interviewer
㈱牧野フライス製作所 カスタマアプリケーションセンタ
加工技術開発部 研究グループ スペシャリスト
影山 貴氏

 精密ダイカスト金型メーカーとして100 年を超える時代を歩んできた日本精機。近年は金型製作に金属アディティブマニュファクチャリング(AM)を適用する技術開発に注力する。同社AM研究開発拠点の㈱Tooling Innovation AM 事業ショールーム(愛知県瀬戸市)で、AM 事業の責任者である松原雅人常務にAM 事業の現状と展望を中心に話を聞いた。

影山

まず、御社の歴史についてお聞かせください。

松原 

創業は1920 年でゴム製品の金型メーカーとして神戸市で始まりました。1941 年に神戸製鋼が名古屋に工場を建設してアルミダイカストを手がけるということで、それについていく形で名古屋市北区に名古屋分工場を設立しました。1961 年に現在の守山区に移転して、日本精機という会社名になったのが1974年。日本精機としては今年でちょうど50 年になります。
2015 年には当社グループ企業で主に鋳抜きピンの製造・販売を手がけるダイナモ(愛知県瀬戸市)のベトナム工場で金型事業部を立ち上げて、主にベトナムやその近隣諸国の日系顧客向けに金型供給を始めました。今私たちがいるこの拠点は、同じく当社グループ企業であるTooling Innovation(名古屋市守山区)のAM 事業ショールーム(愛知県瀬戸市)で、当社が現在注力しているアディティブマニュファクチャリング(AM)の製造工場兼ラボのような位置づけとなります。AM のアルミダイカスト金型への適用ということで2021 年から事業を開始して、今年で丸3 年になります。
当社はシリンダーブロックなどのエンジン部品が鋳鉄でつくられていた頃から自動車メーカーと付き合いがあって、エンジン部品がアルミダイカストになっていく時代の中、ほぼすべての国内自動車メーカーでその立上げに協力してきたと聞いています。私が入社した1996 年頃は「エンジンとミッションに強い会社」と言われていました。当時、超大型と表現されていた3, 500 t クラスの金型を最も得意とする会社です。

影山 

3, 500 t というのはすごいですね。1996 年と言うといわゆる就職氷河期に入った頃ですが、その時期に金型の世界に飛び込もうと思ったきっかけなどはありますか。

松原 

私は高校の機械科卒で、そこでの学びを活かせる仕事がしたいと思って学校からの推薦で入社したのですが、正直、金型のことはまったく知らなかった(笑)。入社後に現場で必要な知識や技術を身につけていった感じです。現場に長く従事して、組付けや仕上げも経験しました。2010 年の取締役就任までに、金型に関する仕事は生産管理や営業も含めほぼすべて経験しました。
現在はダイナモベトナム工場金型部門とTooling Innovation の責任者も兼任しています。これまでの経験や5 軸加工機の立上げなどのノウハウを活かした金型コンサルティング事業も手がけています。AM では現在GE Additive 社の金属3D プリンタが2 台ありますが、今秋にはソディックと共同開発している大型3D プリンタが入ってくる予定です。

影山 

若い頃からモノづくり全般をしっかり見てきて、その経験を新たな事業の立上げに活かしているのですね。AM 事業はその象徴だと思います。

松原 

今の金型業界は、結局「安くつくれるところが勝つ」という競争をしているのが実態だと思っていますが、それだとおもしろくないじゃないですか。そこに加えて、他社にはない付加価値を付けていかなければならないと思っています。そうしなければ当社独自の魅力がなくなる。それでAM の金型への適用などを積極的にやっていこうと思って今に至ります。
Tooling Innovation のAM 事業ショールームにはGEAdditive 社の「Concept Laser M2」が2 台並ぶ

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