icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

型技術 連載「巻頭インタビュー」

2024.10.23

金属AMをいち早く金型製作に適用 金型設計でのAMの標準仕様化を目指す―日本精機

  • facebook
  • twitter
  • LINE

㈱日本精機
常務取締役
松原雅人氏

Interviewer
㈱牧野フライス製作所 カスタマアプリケーションセンタ
加工技術開発部 研究グループ スペシャリスト
影山 貴氏

AM 技術でギガキャストに関わっていく

影山 

最近、主に自動車業界でギガキャストが大きな話題になっていますが、御社ではギガキャストについてどのように捉えていますか。

松原 

確かにホットワードですよね。私も調査のために2022 年、23 年とドイツ、イタリア、ポルトガルに行って、テスラのギガキャストをつくっている金型を実際に見せてもらい、業務提携も結んできました。
ただ、私たちは直接ギガキャストには手を出さない。ギガキャストの金型一式を日本でつくるのは、インフラの問題や設備投資リスクもあるので難しいという判断です。とはいえ、ギガキャストに関わってはいきたいので、新たなAM 装置の開発でギガキャスト金型のAM 入れ子をつくって提供するなどを検討しています。実際、先ほど話した業務提携先のメーカーにSKD でつくったAM 入れ子を試験的に納入しました。そうした形で実績を蓄えて、日本でギガキャスト化が進んできたときに当社はAM 技術の部分で関われていければいいかなと思っています。 
ギガキャストでは製品が大きくなるので、ひずみを抑えて製品品質を確保するには冷却は必須です。金型寿命もまだ実際には5, 000~6, 000 ショットしかもたないと言われています。実際、欧州の金型メーカーの場合は5, 000~6, 000 ショットしかもたない。何憶円もかけて金型をつくっても、中子は全部交換しなければならない。そのへんは日本では許されないじゃないですか。お金がかかりすぎるのはダメだと。だから私たちはAM では一式型をやらずに入れ子の製作や、メンテナンスの部分で携わっていこうと思っています。

影山 

AM 技術を活用できる部分で、ギガキャストにおける立ち位置についても虎視眈々と狙っているのですね。

変革期を乗り越えて勝ち残る

影山 

最後に御社の今後の目標についてお聞かせください。

松原 

EV 化やギガキャストなどで、この業界は変革期にあると思っています。そこを乗り越えて勝ち残るのが目標です。少なくとも当社は勝ち残る。そのためには業界や顧客の動向、環境変化に対して常に柔軟に対応できる基盤を構築していくことが重要です。
当社とグループ全体の総力で技術革新を継続していくことで、変化に順応しながら業界に必要な最良のインフラとサービスを提供していくという思いを貫いていきます。また、次世代に向けた新しい市場開拓や業態転換を視野に入れて、それに向けた人材を確保・育成して未来につないでいきたいです。

影山 

きっと御社なら勝ち残れるはずです。本日はありがとうございました。
松原雅人(まつばら まさと)
1996 年 愛知工業大学名電高等学校 機械科 卒業
同年 ㈱日本精機 入社
2010 年 同社 取締役本部長
2012 年 同社 常務取締役
2015 年 Dynamo Vietnam 金型製造部門 顧問
2022 年 ㈱Tooling Innovation COO
43 件
〈 4 / 4 〉