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プレス技術

2025.02.19

サーボプレス+サーボ搬送ロボットラインで高速生産と省エネ稼働を実現―齋鐵

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メカ式に比べ不具合が少ない

 SS1 による効果は、それだけではない。故障が激減し、設備や金型のメンテナンスが楽になったと同社ではいう。「メカ式はテコの原理で動かしているので、どうしても摺動面同士のコスレにより、バーがすり減るなど、物理的に負荷のかかるところが摩耗していきます。また、摩耗すれば寸法が徐々にずれてくるし、ブレが出ると不良につながったりするものです」(伊藤氏)。

 ただし、SS1 の運用は単にサーボプレスと搬送ロボットの設備だけに委ねているわけではない。仕事をしっかりこなすための工程管理のほか、製品搬送をスムーズに行うために社内で製作した独自のガイドや中間テーブルなども用いている(写真4)。
写真4 自社製の中間テーブル

写真4 自社製の中間テーブル

 このほか、同社の取り扱い品は季節商品が多く、繁忙期には多くのラインを使用するが、需要が一段落すればサーボロボットラインに加工を集中させるなど効率的な運用を行っている。

プレスと板金の複合加工も

 プレス加工だけでなく、2017 年にはアマダのパンチ・レーザ複合マシン「EML︲3510NT」を導入し、板金業務も始めた。板金への設備投資は2019 年の「3 次元ソリッド板金CAD システム」、2020 年の「高速・高精度サーボベンディングマシン」、2022 年の「ファイバーレーザ溶接機」と続き、今では板金業務に必要なほぼすべての設備をそろえるまでに至っている(写真5、写真6)。「当社はプレス屋から製品組立屋になりつつあるので、必要に迫られ必然的にどちらも行うことになりました。協力会社である板金会社との協業を進める中で、自社で板金設備を持っているとスピード感や既存の協力会社の高度な技術と融合できることなど数々のシナジー効果を得られることが強みとなります」(齋藤社長)。
写真5 レーザ加工機

写真5 レーザ加工機

写真6 ベンディングマシン

写真6 ベンディングマシン

 新規参入の板金を含め、専用機として用いている200t プレス1 台を除いて、同社の機械類はすべてアマダグループの設備だ。とくにプレス機械で言えるのは、「アマダプレスシステムさんのメンテナンス対応の良さです。当社の特徴は、超高精度の製品を手がけているわけではなく、当たり前の精度というか、決められた精度を確実に維持しつつ、量産するやり方です。取引先へはデイリーの納品なので、日々の要求に間に合わせるのが仕事の基本になっています。それにいかに応えるかが我々の使命であり、それに対応できるのがアマダプレスシステムの設備であり、対応力だと我々は思っています」(齋藤社長)。機械メーカーを統一すれば部品類を共通化できるので、どこかで不具合が生じても対応しやすいことなどが大きなメリットとして挙げられる。

サーボプレスによる新規市場開拓に意欲

 SS1 を導入する際に掲げた目標のうち、まだまだ拡大を狙っているのが新規市場開拓だ。特定の顧客への依存度を下げるために新規業界に向けて設備の優位性の力をアピールしようとしたこともある。「導入した頃は、『必須部品などの薄物加工の仕事もありそうだ』と聞き、下死点精度の高さを活用すれば何とかなるのではないかと思っていろいろ研究しました。結局、実現はしませんでしたが、方向性としては合っていたと思っています」と齋藤社長はいう。

 新規市場への参入も決して諦めたわけではない。「サーボプレスの活用にも慣れ、将来的には他社との差異化が図れる上位機種などを配備するなどして、いずれは本格参入を果たしたい」と齋藤社長は意欲を見せる。
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