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プレス技術 連載「我が社の現場DXはじめの一歩」

2025.04.22

第4回 現場導入レポート 沼製作所編

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企画・文=ものづくりライター 新開 潤子(オフィス・キートス)
協力=SUS ㈱、㈱オシタニプレス、㈲沼製作所
しんかい じゅんこ:ものづくりライター/オフィス・キートス代表
URL:https://office-kiitos.biz/
取材協力:SUS ㈱  URL: https://www.sus.co.jp/
 小学生でも使えるほど簡単なコントローラ、SiO シリーズ〔エスアイオー、SUS ㈱製〕を使い、工場のデジタル化・自動化(=デジタルトランスフォーメーション、以下DX)で現場の効率化を目指す本連載。

 実際に現場でSiO シリーズを使う様子をリアルに紹介するために、板金加工業・プレス加工業の2 社に協力を依頼し、前号ではSUS 静岡事業所でのSiO セミナーとショールーム見学を含むキックオフミーティングの様子をレポートした。
【現場DX プロジェクト概要】
①  セミナーとショールーム見学で、社長自らSiO を学び身につける
②  会社に持ち帰り、現場で3 カ所以上にSiOを使った仕組みを導入する
③ その様子を本連載でリアルにレポートする
 今号では企画に協力いただいた愛知県豊川市のプレス加工メーカー、㈲沼製作所(代表取締役 沼大輔氏、写真1、写真2)に取材に伺った。すると6 月に静岡でSiO シリーズを学んでから3カ月で、すでにSiO を使った2 つの仕組みが動き始めていた。
写真1 ㈲沼製作所の沼大輔社長

写真1 ㈲沼製作所の沼大輔社長

写真2  沼製作所の加工現場。60t プレスを中心にした設備構成で、小物の建築部品などの少量・量産のプレス加工を手がけている

写真2  沼製作所の加工現場。60t プレスを中心にした設備構成で、小物の建築部品などの少量・量産のプレス加工を手がけている

組付け機 完成品カウンタ

 最初の仕組みは、L 型ブラケット、ばね、はとめの3 点をASSY する組付け機の横に設置した完成品カウンタ(写真3)だ。
写真3 レトロな組付け機の横に可動式の完成品カウンタを設置した。SiO コントローラを筐体に埋め込んでスッキリさせた

写真3 レトロな組付け機の横に可動式の完成品カウンタを設置した。SiO コントローラを筐体に埋め込んでスッキリさせた

1.導入前の課題

 組付け機(写真4)で部品3 点を組付けするシンプルな工程だが、備え付けのレトロなカウンタ(①)は動作した回数を単純にカウントアップする仕様。そのため作業者がNG と判定した製品まで数えてしまい数量がずれていってしまうので、NG 品を数えるためのサブカウンタ(②)を追加で設置していた。しかし今度はNG 品が出たときに押し忘れることもあり、結局心配になって150個ロットを数え直す…という二度手間、三度手間が発生していた状況だった。
写真4  従来使用していたカウンタ(①、②)と、今回新設したデジタルカウンタ(③)

写真4  従来使用していたカウンタ(①、②)と、今回新設したデジタルカウンタ(③)

2.SiO を使って作った仕組み

 そこで今回、アルミフレームで完成品BOX 置き場を作り、その架台にSiO コントローラを設置。スライダ上に光電センサを設置して、完成品が通過した数をカウントするようにした。

 また、伸ばしたアームの先に取り付けたデジタルカウンタには、光電センサを通過した完成品の数量を表示。その上にあるボタンスイッチは150個になったときに点灯し、箱替えの後にボタンを押すと数値がリセットされるようにプログラムした。

3.プログラム

・光電センサがON →回数をカウントアップ
・カウンタ150 でライト点灯
・ボタンを押すと数をリセット

4.こだわりポイント

・ SiO を筐体に埋め込み、スッキリデザインした
・ スライダの場所を可変式にして、他の型番でも使えるようにした
・ 目線の高さにカウンタを付け、作業者に合わせて高さを調整できるようにした

5.得られた成果

・完成品の数え直しがなくなった
・カウンタ② NG 数の集計
・計算が不要になった
・数量間違いを防止できるようになった

6. 改善ポイント

 いったんはうまく稼働させることができたが、現状ではまだ改善したい点もある。1 つめの改善ポイントは、L 型形状の製品では、置き方によっては2 回カウントしてしまう点だ(図1)。沼社長によると「本当はスライダの形状を変更して定の置き方しかできないようにしたいが、今のところは置き方を一定にするようにルール決めして運用している」ということだった。
図1  L 型のワークでは、部品の置き方によって2 回カウントしてしまうトラブルがあった

図1  L 型のワークでは、部品の置き方によって2 回カウントしてしまうトラブルがあった

 2 つめの改善ポイントは、設定数に到達したときの表示方法だ。構想時点では目線の高さのライトで十分と考えていたが、使い始めてみると若干の物足りなさがあるため、「ピンポン」を鳴らすかパトライトを回すなど、もっと目立つようにすれば良かったとのこと。こちらは余裕のあるときに改善を予定しているそうだ。
 かかった費用:約52,000 円
 架台のフレームは近所のホームセンターで購入し、自分で長さを調整しながら切断して組み立てて、約14,000 円。SiO コントローラと配線済みの光電センサ、トータルカウンタ、ボタンスイッチはモノタロウ(MonotaRO)で購入し、4 万円弱だった。
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