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プレス技術 連載「我が社の現場DXはじめの一歩」

2025.06.04

最終回 現場導入レポート オシタニプレス 導入編

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企画・文=ものづくりライター 新開 潤子(オフィス・キートス)
協力=SUS ㈱、㈱オシタニプレス、㈲沼製作所

スクラップ排出コンベア

1.導入前の課題
 タレットパンチプレス(写真5)から出るスクラップの回収作業は、作業者が機械の下に潜り込んでスクラップ箱を引っ張り出す必要があった(写真6)。装置導入時にはメーカーオプションのスクラップ搬送コンベアも検討したが、高額だったため当時は一度断念していた。
写真5  スクラップ排出コンベアを設置したタレットパンチプレス

写真5  スクラップ排出コンベアを設置したタレットパンチプレス

写真6  改善前のスクラップ箱。機械のテーブル下の奥にあるためアクセスしにくかった

写真6  改善前のスクラップ箱。機械のテーブル下の奥にあるためアクセスしにくかった

2.SiO を使って構築した仕組み
 SUS のラインアップからコンベアユニットを購入してSiO2 コントローラを接続(写真7)。スクラップが落ちる場所にピッキングセンサ(写真8)を設置し、スクラップを検知したら20 秒間コンベアを動かすようにした(写真9)。
写真7  コンベアのコントローラの横にSiO2 を並べて接続

写真7  コンベアのコントローラの横にSiO2 を並べて接続

写真8  SUS の辻氏の助言により複数の光線で検知するピッキングセンサを採用した

写真8  SUS の辻氏の助言により複数の光線で検知するピッキングセンサを採用した

写真9  落ちてきたスクラップにピッキングセンサが反応し、コンベアが動き始めた

写真9  落ちてきたスクラップにピッキングセンサが反応し、コンベアが動き始めた

 スクラップの形状は様々だが、ピッキングセンサは複数の光線で検知するため、1 個でも検知できればコンベアが動作して全てのスクラップを搬送できる。
3.プログラム
・ピッキングセンサがスクラップ検知でON
・コンベアが20 秒間動く

4.こだわりポイント
・ 全てのスクラップを完璧に検知する必要はなく、一部でも検知できれば機能する実用的なプログラムにした
・必要な時だけ動作する省エネ設計

5.得られた成果
・ 作業者が機械の下に潜り込む必要がなくなり、作業負担が軽減された
・材質ごとのスクラップ分別が容易になった

6.改善ポイント
・ スクラップを集めるガイドが必要:スクラップが落ちる位置からコンベアまでが遠いとスクラップが飛散することが判明。スライダと両サイドにガイド設置の必要あり
・ スクラップ落下時の衝撃緩和:現状ではスクラップが直接ベルトに落ちるため、ベルトの破損リスクがある。スライダやスロープなどでワンクッション入れて衝撃を弱める対策が必要
・ 満杯検知機能の追加:スクラップ箱に満杯センサを設置し、スクラップが溢れる前に交換時期がわかるようにするのも良い。将来的にはからくりを使って、満杯箱の自動排出→空箱の自動投入などの仕組みを追加できれば理想的。
 かかった費用:約160,000 円

 スクラップ排出コンベアの部品はSUS の営業担当に相談しながら選定した。
・ベルトコンベア(W190 × L1200):113,000 円
・SiO2 基本キット:12,300 円
・ベルトコンベア- SiO 間ケーブル:3,000 円
・ピッキングセンサ:31,800 円  
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