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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.06.25

金型設計力のさらなる強化で製品の付加価値増大に挑戦 顧客の課題解決に貢献する―山元

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山元㈱  代表取締役社長
山元希企氏

営業マンにこそ「技術」を知ってほしい

営業の特徴は。

技術営業というスタイルをとっていることです。なので、営業先は購買部ではなく、開発・設計部というケースがほとんどです。あるお客様から、そのお客様の得意先に直接営業してほしいと依頼されたことがきっかけでしたが、当時は上場企業でも電話をすると会ってくれましたので当たり前に設計に顔を出していました。先方としても量産を見据えた試作が可能となるため重宝がられていたと思います。

技術営業のメリットは。

お客様である設計者と課題を共有できるようになり、自分の頭で動けるようになります。お客様からの要望に「そこは持ち帰って、現場と相談してお応えします」ではなく、その場で自分が回答して、本当にわからないことだけを携帯で現場に電話して解決する。話が早く、頼りにされます。相手の懐まで入り込むのが技術営業の腕の見せどころです。なので、新しく営業担当者なったメンバーにはひと通りの技術研修を受けてもらい、ある程度わかるようになってから営業に送り出すというやり方に変えていきました。ちょうど私自身が入社以来続けてきたスタイルと同じやり方です。量産に際しては、通常、価格競争になってしまうことが多いのですが、設計部の方に口添えしていただけることでそれを回避できるケースもあります。

金型設計者育成の取組みは。

一つは、金型設計部門に入ってきた若手の登竜門としてオイルレス金型を作らせるという取組みです。サンプルとして型図とその現物を与え、1 週間で金型の設計から組立てまでを全部一人でやり切るというものです。ベテランメンバーならば1 ~ 2 時間で図面を作成、3 日以内にはものが出来上がっているぐらいの負荷の仕事です。
もう一つは、金型設計者を実際にお客様のところに連れていって鍛えるというもの。以前は営業がお客様からもらってきた図面を金型設計部に渡して、彼らのコメントをお客様に伝えていましたが、それでは「伝言ゲーム」となり、正しい情報が伝わりませんし、金型設計者にとっても成長するチャンスを失いかねません。実施してみると、最初こそ嫌がりましたが、最近は営業抜きで直接やってくれているので、狙いどおりになったと自負しています。

金型組立て作業

もっと金型技術を高めたい

今後、チャレンジしたいことは。

一つは、金型設計の強化です。今は10 人ほどですが、これを当面、20 人ほどに増員すること。そのためにこの3 カ月間で18 人面接しています。本来、金型は全部内製したいと思っていますが、いろいろなお客様で製品の立ち上げ時期が重なることがあり、なかなかそういうわけにもいかず、今は協力工場さんにお願いしています。
もう一つは、開発設計の部隊を作りたいと思っています。金型をその構造から見直せるメンバーを複数人揃えていきます。より根本的な問題解決ができる人材を育成することによる金型技術の底上げのほか、金型設計者の負担を減らしたいという狙いもあります。金型設計は納期も厳しく、ストレスがたまる業務です。開発部隊のノウハウを蓄積し、客先からの図面が来たら、それらの成果を簡単に使えるように環境を整えてあげたいと思っています。金型設計強化の柱になるため、今すぐやりたいのはそこです。
さらに、どこかにもう一つ海外工場を作りたいと狙っています。すでにフィリピンは調査しましたので、今度はベトナムの状況を聞いてこようと思っています。ゆくゆくは現地の人に運営を任せられるような工場になれば、その国の経済にも貢献でき、多くの人を幸せにできるのではないかと思っています。思い入れのある工場をどこかに作りたいと願っています。
やまもと まれき:1967 年生まれ。57 歳。1991 年、大学卒業後、銀行勤務を経て、1999 年、山元入社。2024 年、代表取締役社長に就任。家族は妻と一男一女。趣味はテニス。
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