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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2024.10.07

刃物製造で鍛えた金型技術を武器に自社の強みを生かした営業を展開 ニッチ市場の開拓に邁進する

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㈱ツカダ 代表取締役
塚田浩生氏

 ツカダは1970 年創業のプレス加工メーカー。刃物の街、岐阜県関市においてプレス打抜きで起業。サニタリー関連の金属絞り部品など様々な部品・加工のレパートリーを増やし、さらに16年には自社製品としてデザイン雑貨を上市、大きな反響を得た。2013 年から同社の指揮を執る2 代目社長の塚田浩生氏に同社の強みと今後の戦略について聞いた。

「何でも抜きます」が合言葉

『プレス技術』編集部

地元関市は刃物の街として知られています。

塚田

日本最大の刃物の産地という土地柄もあり、当社も刃物の打抜きで創業、以来、協力企業さんたちとともに関の刃物産業を支えてきました。現在でも包丁やハサミなど刃物が売上全体の35%を占めていますが、その他サニタリー関連の水栓金物(30%)、産業機械や建築金物関連をはじめ特定の産業に分類されない部品(60%)も増えています。刃物は打抜き加工が主体ですが、水栓金物では配管の根元に付ける目隠しカバーなどを手掛けているため、絞りや曲げも多くなります。
包丁のブランク打抜き

包丁のブランク打抜き

キッチンバサミの金型

キッチンバサミの金型

編集部

被加工材のレパートリーは。

塚田

金属、樹脂、セラミックスなど材質問わず加工しますが、刃物では焼入れ可能なSUS420J2を使用します。熱処理すると硬度がHRC50 ぐらいまで上がるのですが、昔からこればかり抜いていたので一般的なSUS304 を抜いても何の苦労もありませんでした。最近ではプラスチックを抜いてほしいという引き合いも多くいただいています。10 年ほど前、スポーツ用品メーカーの依頼でGFRP の打抜きをしたのがきっかけで、そこからCFRP にも派生して技術を蓄積していきました。まずは葉書ほどの大きさでよいので素材を送ってもらえればテスト型で抜いてみせますので、それを見てから話を進めませんかと案内しています。同じCFRP でも樹脂部分の硬さもいろいろでそれによって加工の仕方も違ってくるからです。

編集部

樹脂と金属、抜き型の違いは。

塚田

実際に樹脂を抜いてみると思いもよらないクリアランスが実は一番綺麗に抜けるなど金属とは感覚がまったく異なることに気づきます。さらに同じ樹脂でも塩ビとポリアセタールなど硬めの樹脂とでは、また少し違ってきます。

編集部

御社の強みは。

塚田

「何でも抜きます」というキャッチフレーズのもとに積極的にチャレンジする姿勢です。当社が目指しているのは誰もやったことがないような仕事です。なので、これまで接点のなかったような業界からの仕事も積極的に引き受けていきたいと思っています。例えば、木工家具を作っているが一部金属部品が必要になったなどといったケースです。そういうニッチな仕事を全国から集めていきたいと考えています。現在、当社の顧客数は約300 社、プレス屋としてはかなり多い方だと思いますが、この数をさらに増やしていければと考えています。
オリジナルの作業用前掛け

オリジナルの作業用前掛け

編集部

最近のお客様の傾向は。

塚田

コロナ禍の影響もあり、廃業したプレス屋さんがしていた仕事を引き受ける仕事が増えています。当社ではどんな古い型でも受け入れて極力そのまま使うようにしていますし、それが適わなくとも例えばパンチが短くなっているのならば、その部分だけ作り替えて最低限のコストで提供しています。そのために3 次元測定器をはじめ、CAD やワイヤ放電加工機などリバースエンジニアリングに必要な一通りの設備を揃えています。確かに他社が作った金型はやりにくい面もありますが、その会社の長年にわたるノウハウが詰まっています。若手を含めて皆でバラして検証していくと、ほとんどの部品が理に適ったものばかりで多くの学びがあります。
単発プレス工程

単発プレス工程

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