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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2024.10.07

刃物製造で鍛えた金型技術を武器に自社の強みを生かした営業を展開 ニッチ市場の開拓に邁進する

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㈱ツカダ 代表取締役
塚田浩生氏

編集部

浮上のきっかけは。

塚田

私が社長になった後、自社製品を出した翌年と翌々年に赤字決算で苦しんだことが、本気で自社の強みと弱みに向き合って戦略的に手を打っていくきっかけになりました。当社のような会社はいくら数量が多くとも相場が決まっている仕事はあまり魅力的ではありません。どうしても価格競争に巻き込まれるからです。そうではなく、たとえ100、200 のオーダーでも、金型に掛かる費用も含めてきちんと回していけるような仕事を増やして積み上げていくことが大切だと考えるようになりました。そういう仕事は探していないだけで、実はたくさんあるのではないかと考えています。お客様にとっても、従業員の高齢化が進むプレス業界であと何年それで持つのか、プレス屋が廃業して苦労したことのある会社にきちんと安心を提供できることを目指しています。

編集部

具体的な社内の業務改革は。

塚田

特に重視したのが現場の意識改革。とにかく新規のお客様を捕まえたい、そのために「世界一きれいな工場」を目指して5 S をするところから始めました。口でどんなに恰好の良いことを言っても工場が汚かったらお客様に信用してもらえないからです。さらに社員たちそれぞれに朝1分間ずつスピーチしてもらう試みも始めました。話のネタは仕事でも趣味でも何でもよいので職場の仲間が普段何を考えているかに関心を持ち、感想を言い合う取り組みです。意識を共有し一丸になれることを狙ったものです。

編集部

取り組みの効果は。

塚田

この数年で自分の頭で動ける社員が増えてきました。それぞれが社内での自分の役割を理解して何かトラブル起きれば必要なメンバーが集まって自律的に解決してくれるようになってきたのです。お客様からの難しい仕事を解決するためにはコミュニケーションが取れていないと問題解決もできないので、そこが大きく強化されてきたと実感しています。
絞り品のトライアンドエラーの全容

絞り品のトライアンドエラーの全容

プレス屋であることが宝物の時代になる

編集部

これからプレス屋が成長していく鍵は。

塚田

個人個人の成長が会社全体を成長させるということに尽きるのではないかと思います。現在、プレス屋は誰もがやりたがる仕事ではありません。給料が良かったり、もっと楽な仕事はほかにもあります。なので、プレス屋に勤めている時点ですでに会社にとっても、ひいてはお客様にとっても宝物と言えます。それに20 代でヒヨッコのヒヨッコ、30 代でヒヨッコ、40 代でもかなり若く、50代でもまだ若い、60 代でもまだまだいける、70~ 80 代でやっと熟練、と考えると、他の業界より40 年長く必要とされる仕事です。そこに当社が存続できる理由があります。さらに例えば40歳の社員のその時点での技術力が先行き衰えたり、陳腐化することのない仕事でもあります。積み上がる一方だからです。だから若手にはいつも「こんなに大事にしてもらえる仕事って、なかなかないよ」と言っているのです。
つかだ ひろき:1975 年生まれ。47 歳。機械メーカー勤務を経て、2000 年、ツカダ入社。2013 年、代表取締役就任。趣味は発明と草刈り。
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