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プレス技術 連載「値決めの鉄則」

2024.12.04

第5回 侮ってはいけない! 材料費の正しい計算方法

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西田経営技術士事務所 西田雄平

にしだ ゆうへい:代表取締役
2009年、大学を卒業後、ミネベアミツミ㈱に入社し購買管理業務に従事。24歳のときにタイ工場に赴任。現地マネジメントに加え、現地の経営者とタフな商談や価格交渉を経験。2015年、西田経営技術士事務所入社。全国の中小製造業へ「収益改善プログラム」を導入。原価と値決めにメスを入れ、顧問先企素の利益創出に億単位で責献。主な著書『中小企業のための「値上げ・値決め」の上手なやり方がわかる本』(日本実業出版社)。
https://www.ni-g-j.co.jp/

※記事の無断転載は固くお断りいたします。

原価のなかの材料費の位置付け

1.原価の構成

 まずは材料費の位置づけから見ていきましょう。図表1 は原価構成の例です。会社によって多少違いますが、筆者が直接指導している企業では、おおむねこのような項目で個別製品原価を捉えています。
図表1 原価の構成(例)

図表1 原価の構成(例)

 簡単に用語の説明をしておくと、「全社原価」とは、製品1 個あたりの製造や販売にかかるすべての費用を合計した価(あたい)です。したがって材料費のほか、作業員の給料や機械設備代、事務方で発生している間接費などが漏れなく算入されたものになります。

 次に「変動原価」と「固定原価」についてです。「変動原価」とは売上げに連動して発生する費用です。もの作り企業の場合で言えば、製品を作れば作るほど発生する費用がそれです。例えば、材料費や外注費がそれにあたります。また会社にもよりますが、作業員の給料である直接労務費も「変動原価」とみなしています。このように考える理由は、受注の繁閑の波次第では作業員を雇ったり雇わなかったりすることが現実的にあるためです。

 一方、「固定原価」とは売上げに関係なく発生する費用を言います。代表的なものが機械設備の減価償却費や工場建屋代、そのほか事務方でかかる費用です。これらは工場の忙しさに関係なく毎月ほぼ一定の費用がかかってきます。

 決算書などを作るときの財務会計のやり方とは少し考え方が異なりますので誤解しないようにしておいてください。

材料費の計算とそのポイント

1.材料費の算出法

 それでは、個別製品原価における材料費の計算方法を見ていきたいと思います。計算式は次のとおりです。自社の現状と比較しながら穴があくほどじっくりと眺めてみてください。
材料費(円/ 個)=
仕入単価(円/kg)×使用量(kg/ 個)÷良品率(%)
(例)
 = 200(円/kg)× 0.1(kg/ 個)÷ 90(%)
 = 22.22(円/ 個)

2.材料費を考えるうえでのポイント

 実務的に重要なポイントは2 つです。

ポイント1 単位をしっかりと書いておく

 特に「/(スラッシュ)○○」の部分が重要です。これは、筆者がコンサルティングをするときに皆さんの耳にタコができるほど申し上げていることです。そのように指導している理由は、この部分を明確に記載しておかなければ社内の他の人が資料を見たときにパッと理解することができないためです。これは値決めや原価管理だけではなく生産管理や製造管理においても同様です。製品1個あたりの話なのか、材料1kg あたりの話なのかハッキリさせておくことが、テキパキとチームで実務を進めるためのポイントです。

ポイント2 ロスは良品率で割る!

 製造業にロスの発生は付き物です。原価にはそのロスを加算しておかなければいけません。そのときに大切なのが「良品率で割る」ことです。よく、「ロスは10%だから、ロス込み材料費は× 1.1倍だ!」だとしてしまいがちなのですが、それは誤り。それだと実際よりも少ない材料費が計算されてしまいます。原価管理上も問題ですし、在庫管理においても急な欠品の原因となり得ます。

 ここを間違えている会社をこれまで数多くみてきましたので、いま一度、自社のやり方をチェックしてみてください。
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