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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2025.09.03

第16回 3次元CADにおける「フィレット」をマスターしよう!

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

そのほかに覚えておくべき基本ポイント

 以上の基本的なルールを考慮しつつ、もう1 つの基本として、フィレットを作成する際には「半径値の大きいものから優先的に作成する」というポイントをぜひ覚えてほしい。

 フィレットは“隣接する2 つの面の間にボールを転がして形状がつくられるイメージ”である。作成されたフィレット面は、隣り合う面に接する円弧形状となる。ボールを転がす際に曲がるコーナーがきついと、フィレットが「自己交差」を起こしてエラーとなる場合がある。そのため、曲がるコーナーはできるだけ大きい半径値がよいとされている。

 フィレットを作成するタイミングだが、形状作成の最後に行うのが基本である。なぜなら、設計変更が発生した際、フィレットを作成した面やエッジがなくなってしまうことで、整合性が取れずにエラーを引き起こしやすくなるからである。ただし、デザインや設計に関係する場合には、大きなフィレットを形状の一部とみなし、作業の中盤に作成することもある。また、値の小さいフィレットであっても、ボスやリブ、スナップフィットなどの形状の小さな部分からフィレットを作成していくことで、形状全体が正接でつながり、滑らかにフィレットを作成できる場合が多いので、試してみてほしい。

 フィレットの順番や半径値を考慮してモデリングしたとしても三角面が生じて、シワやネジレが起きたり、微細な面ができてしまったりと、どうしてもデータ品質に影響が生じてしまうケースが起こり得る。そうした場合には、フィレットのオプションコマンドを用いたり、サーフェス機能を使用して面を張り直したりして解決を試みる。また、コーナー部を編集して三角面ができないようにしてくれる機能を持った3 次元CADも存在し、このようなコーナーの面のことを「ボカシ面」という(図6)。
図6 ボカシ面の例

図6 ボカシ面の例

フィレットは奥が深い

 フィレットは簡単な作業のように見えて、実は奥が深いということを理解していただけただろうか。冒頭にも説明したが、フィレットはモデリング技術と経験が大きく反映される作業であり、数あるモデリング操作の中でも難しいとされる作業である。ぜひ、今回の内容を基本的な考え方として、今後の3次元CADでのモデリング作業に役立てていただきたい。

 フィレットは、作成する箇所が複雑である場合が多く、位置変更も頻繁に発生する。そのため、どのような分岐をすればよいかなど、コーナー部の処理を考えながらモデリングする必要がある。また、フィレット合流部などの位相変更が発生しそうな箇所では、フィレットを作成する順番を考慮しなければならない。効率的にフィレットを作成するには、どこにフィレットを作成すべきか、常に最終形状をイメージしながらモデリングすることが重要である。

 フィレットの考え方やテクニックはほかにもある。今回紹介した内容は、その一部であり、1 つの参考としていただきたい。社内でフィレットの作成方法やルールが整備されているのであれば、そちらのルールに従うことを最優先に運用し、今回の内容は1つの例として捉えてほしい。

 3次元CAD環境によっては、フィレット作業を効率的に行える便利な機能もある。お使いの3 次元CADのフィレット機能の詳細設定などを確認してみてほしい。これから3次元CADの導入を検討される方は、フィレット機能の良し悪しを選定の1つのポイントにしてもよいだろう(図7)。
図7 「CATIA V5」のフィレット作成画面例

図7 「CATIA V5」のフィレット作成画面例

 今回の内容が今後の皆さんの3次元CADでのモデリング、3 次元CAD導入選定の一助になれば幸いである。
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