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工場管理 連載「闘う!カイゼン戦士」

2024.10.07

5S全社活動のありたい姿は安全で明るく楽しく働きやすい職場―リコーインダストリー 東北事業所

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 雇用創出に向けて、東北の地で生産を開始したリコーインダストリー東北事業所(旧東北リコー)。創業時から受け継がれるモノづくりのDNAがそのたゆまぬ改善活動を支えてきた。製造現場だけでなく間接部門においても、小集団活動を中心にさまざまな改善を日々の活動に落とし込んで展開している。そんな中、5S の強化・習慣化の底上げを目指し、「BIGSMILE」という間接部門の女性従業員を中心とした改善チームを立ち上げた。近年では生産革新を加速する製造現場のデジタル改善にも乗り出し、また2011年の東日本大震災の被災経験で学んだ教訓を活かした防災やBCPへの取組みも強固なものとしている。

「生産のリコーウェイ」を土台に創業時から受け継がれるモノづくりのDNA

 リコーインダストリー東北事業所は1967 年に東北リコーとして設立。2013 年にリコー、リコープリンティングシステムズ、リコーユニテクノと統合、各社が持つ生産機能を再編してリコーインダストリーとしてスタートした。本体事業、キーパーツ事業、サプライ事業の3 つを手掛け、それぞれ海外向けプロダクションプリンタ、コストやスペックを左右するキーパーツ、そしてトナーを生産している。

 高度経済成長期の東北地方には雇用が少なく、リコーの創業者の市村清氏は集団就職列車で都会に向かう若者たちの姿を目の当たりにして創業を決意。翌年には300 人もの雇用を生み、その後も毎年多くの地元若人の雇用に踏み切ってきた。

 創業時から5S の強化・習慣化を目指す小集団活動を中心としたさまざまな改善活動が日常的に定着していた。そこには、リコーグループ共通のモノづくりの土台である「生産のリコーウェイ」(RicohWay Production System、RWP)という生産活動の考え方や手法を実直に実践してきた背景があるという。本社は毎年、国内外の全22 生産事業所のRWP 実践度を評価している。「これは事業所の通信簿のようなものです。良い施策は全事業所へ水平展開されます。当社には“SPM”(S =すぐに、P =パクって、M =まねる)という文化があり、互いに競いつつも学ぶべき点は学ぶという姿がリコーの特徴です」(庄司所長)
無機質な空間をカラフルな多目的スペースに。ソロワークやリモート会議、休憩、軽食など自由に使える

無機質な空間をカラフルな多目的スペースに。ソロワークやリモート会議、休憩、軽食など自由に使える

間接職場の女性たちによる「BIG SMILE」 事業所横断の5S レベル向上活動

 間接部門による5S の活動自体は定着していたものの、4 社が統合したことで各人や各部門の基準や考え方にバラツキがあった。そこで5S の底上げを図ろうと、19 年に間接部門の女性従業員を集めた「BIG SMILE(ビッグスマイル)」を結成。女性従業員に白羽の矢が立ったのは、コミュニケーション能力が比較的高く他部署とのネットワークを持つ女性たちなら、周囲と密にかかわり成果につなげてくれるだろうという期待からだ。事業所内連携を円滑化、組織間コミュニケーションを活発化することで、自由な発想で自発的な改善を促す仕組みづくりもBIG SMILE の狙いの1 つである。

 5S を全社活動へと導く新しいアプローチとして発足したBIG SMILE。まずは事業所共通の5S ルールの整備と周知に取り組んだ。5S 活動の進んでいる部門を参考にルールを標準化し、朝礼・昼礼で一斉周知、月1 回のクロスパトロールを通じて実践状況を確認した。2 年目は5S の重要性やBIGSMILE の活動内容の浸透に注力するも、苦戦する部署もあったという。そこで庄司所長の率先垂範の姿をサイネージで発信する「庄司ちゃんねる」を立ち上げるなど、ユニークな発想で楽しく継続しやすい企画を展開した。

 紆余曲折のあったBIG SMILE の活動も徐々に周囲の理解を得られ、3 年目からは3 チームに分かれて活動。チームメンバーの菊地ひろみ氏は「BIGSMILE には明るい、楽しい、働きやすいというコンセプトがあります」という。それを具現化したのが、コミュニケーションスペース「わこりす」(Work Communication Relax Space の頭文字より命名)の新設だ。

 売店閉鎖後のスペースを有効活用しようと総務部門と共同で床・壁からテーブルまでDIY を施し、仕事にも休憩にも利用できる場所をつくった。経費削減効果はもちろん、音を遮るためのソファなどを設置したことでコロナ禍のリモート会議などでは重宝された。また、安全衛生部門と共同で「KY・5S 道場」を開設。改善により空けたスペースをDIY で改造、自由な発想で教育に必要な要素を取り入れ、直接・間接部門の新人の受入れ教育に利用している。
発想豊かに教育要素を取り込んだKY・5S

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