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工場管理 連載「闘う!カイゼン戦士」

2024.10.07

5S全社活動のありたい姿は安全で明るく楽しく働きやすい職場―リコーインダストリー 東北事業所

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事業所の地図と憲法を塗り替える 働きやすさのさらなる追求

 発足当初は7 名だったメンバーも現在は20 名(OG 含む)に増員。「BIG SMILE には事業所の“地図と憲法を塗り替える意識”で進めて欲しい。“地図”とは倉庫を5S 道場につくり替えること、“憲法”とは5S ルールをつくり変えることを意味します」(庄司所長)とトップの後ろ盾も大きい。

 メンバーの大槻順子氏もやりたいことをやらせてもらえる環境に感謝している。「5S からスタートしたプロジェクトですが、会社の利益に直結しなくても、“明るい楽しい”につながるならどんどんやって!という風土があります。残業や夜勤で働く従業員に食事や軽食を提供するキッチンカーを呼んだのは好評でした。地元のティラピス講師を招いた地域貢献型のワークショップも開催しましたし、フードロス削減を掲げたフードバンクへの参加も継続して行っています」(大槻氏)

 BIG SMILE の活動を整理して外部大会にも積極的に参加した。23 年7 月のQC サークル東北支部大会では11 企業・13 事例の中から東北支部長賞に選出され、翌年の全国選抜大会へも出場した。彼女たちの5S や働きやすい職場づくりへの活動が対外的にも評価されたといえるだろう。
道場フリーアドレスによる座席数の効率化もBIG SMILEの取組み

道場フリーアドレスによる座席数の効率化もBIG SMILEの取組み

製造現場のデジタルマニュファクチャリング 有事にも活きるたゆまぬ改善

 製造部門でも継続的かつ全員参加の改善活動に取り組み、恒常的に改善レベルの向上を図ってきた。月に1 回、改善報告会で報告された改善個所を役員らが見て回る「KAIZEN ツアー」を行っている。負荷やプレッシャーをかけすぎないようにと資料は極力シンプルに、そして何より褒めちぎることが継続のコツだという。さらに半年に1 回開催している「KAIZEN 大会」では、さまざまな部門のメンバーが混合でテーブルを囲み、半日かけて討議を行う「ラウンドテーブル」を実施している。

 5 年ほど前からは、「デジタルマニュファクチャリング」と呼ばれる現場の特性に合わせたデジタル改善を実践、スマートファクトリーづくりにも挑んでいる。「“鬼に金棒”と言いますが、鬼= 現場力、金棒= デジタル活用ですから、金棒を持つなら鬼自身も体力をつけなくてはいけない」(庄司所長)と、デジタル活用と現場力の両輪で強化し、その両輪の人財育成が重要だと強調する。
スマホの現場コールアプリで呼び出しのムダを削減(写真提供:リコーインダストリー東北事業所)

スマホの現場コールアプリで呼び出しのムダを削減(写真提供:リコーインダストリー東北事業所)

 また、東日本大震災の被災経験から、防災・BCP に特化した取組みも強固なものとしてきた。事業所内に危機管理センターを設置して専門の人員を常時配置、防災訓練は年10 回以上実施という尽力ぶりだ。日頃から改善の小集団活動でPDCAを回していたことが震災と復興への対応に活かされたという。有事の際は間接部門から迅速に復旧させなくてはならないことも学んだ。
防災・火災・水害・雪害に即座に対応できる危機管理センター

防災・火災・水害・雪害に即座に対応できる危機管理センター

 東北事業所の今後の目標は「外部での力試し」だという。自分たちの改善活動やモノづくり力がどのレベルにあるのか、客観的に把握したいという思いからQC サークルなどの外部大会へ目を向けている。リコーインダストリー東北事業所として10 年目の節目を迎えた23 年には、QC サークル大会への参加だけでなく、工場全体の取組みや成果を表彰する(一社)日本能率協会主催の「GOODFACTORY 賞」にも参加しファクトリーマネジメント賞に輝いた。

 BIG SMILE の改善活動、デジタルマニュファクチャリングの実践、防災・BCP への取組みはすべて、不況下で生き残るための強い工場づくりにつながる。「改善活動や人財育成にかかるコストは経費ではなく投資としてとらえています。投下した倍以上の効果を発揮してくれると確信しています」(庄司所長)。
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