機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」
2025.03.31
第10回 3次元CADでのデータ交換の注意点と対策
いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記
データ交換の方法
異なる3次元CAD間でデータを交換する場合には、そのままダイレクトに独自のデータフォーマット(ネイティブデータ)を読み込める場合もあるが、それ以外の場合には交換用のフォーマットに変換してやりとりを行う(図3)。
図3 異なる3 次元CAD間での3 つのデータ交換方法
3 次元CADには、形状の生成、編集、削除、演算などを処理するモデリングカーネルがある。このカーネルには、独自に開発されたものと汎用的に開発したものがある。汎用的なものには、Parasolid、ACISなどがある。3次元CADはモデリングカーネルを核にコマンドがプログラミングされている。パソコンで例えるならOSに相当する。
カーネルが異なると3次元CADの仕様に違いがある。曲面表現の違い、幾何表現の違い、モデリング許容値の違いなどを生じる。したがって、異なる3次元CADであっても同じカーネルを使用している場合、カーネルのフォーマットでデータを交換することが望ましい。
カーネルが異なる場合、CADに依存しない中間フォーマットでデータ交換を行う。主な中間フォーマットとして、IGES やSTEP がある。2 次元CADでは、DXF、DWGが多く用いられている。3次元CADから中間フォーマットへ、中間フォーマットから3 次元CADへの2 回の変換が行われ、誤変換の機会も2 回発生する。そのため、ダイレクトに独自のデータフォーマット(ネイティブデータ)を読み込める場合には、ダイレクトに読み込む、カーネルが同じでカーネル同士での交換が行えるのであれば行う。
上述した2 つの方法が取れない場合には、中間フォーマットでのデータ交換を行うのが望ましい。しかし、これらは一般的に言われていることであり、実際には、受け渡しする際に相手側といろいろと試し、最適な方法をその都度、見つける方が良い。IGES だと不具合でエラーが起きるが、STEPだと良好に読み込める場合があり、その逆の場合もある。
同じ3次元CADを使用している場合でも、バージョンの違いにより、データを開けないことがある。新しいバージョンで作成した3 次元データを、古いバージョンの3次元CADでは開けないことが多い。その場合には、上述したカーネル、中間ファイルでのデータ交換が必要となる。同じ3 次元CADを使用し同じバージョンでデータをやりとりするメリットとして、3 次元モデルを作成する際に行ったスケッチや押し出しや回転、フィレットなどの作業フィーチャ履歴を持っている場合、そのまま相手に渡すことで相手側が形状の修正や後工程のためのデータ作成が容易となる。同じ3次元CAD同士でもカーネル、中間ファイルでのデータ交換になってしまうと作業フィーチャ履歴までを相手に渡すことができない。
作業フィーチャ履歴がなく、形状を修正したい場合には、ダイレクトモデリング機能を使用する。直接、面を選択して伸ばしたり縮めたり、穴を削除してふさぐことができるなどの機能を持った3次元CADやCAM、CAEソフトがある。作業フィーチャ履歴を形状から自動で作成してくれる3 次元CADもあるなど、便利な機能を持ったソフトがあるため、導入を検討する際にはポイントにすると良い。
データに不具合がある場合の対処法
3 次元CADの互換性については、上記で述べてきた理由などから、どうしても解決しない問題である。不具合が起きた場合には、まずは別フォーマットでのデータ受け取りを検討し、別フォーマットが受け取れない、どうしてもデータに破損が出てしまう場合には、サーフェス機能を使用して面をつくり直すなどの手動での修復を行うほか、専用のソフトウェアを使用する手もある(図4)。
図4 アルモニコスのトランスレータ「spGate」操作画面
データ交換するための専用ソフトウェアは、3次元データの検証や修正(ヒーリング)機能に特化している。受け取る3次元CADに合った形式に変換・修正し、手動による修正時間を減らすことができる。必要頻度に応じてソフトの導入を検討しても良いだろう。
自動修復機能が3次元CADの中に搭載されているものもある。新しく3 次元CADを導入する際、さまざまなデータフォーマットを受け取る可能性がある場合には、読み込めるデータフォーマットの種類の数や修復機能の充実さなども選定ポイントの一つになる。
3 次元データを手動で修復するにも、修復専用の機能を保有している3次元CADもある(図5)。オープンエッジ情報を表示し問題の箇所を拡大、ギャップ修復、微小エッジの削除などが行えるものもある。
図5 3 次元CAD「ZW3D」でのデータ修復画面
3 次元データを手動や自動で修復する場合、本来の形状と異なってしまってはいけない。相手側と確認しながら十分注意して作業を進めていく必要がある。ソフトウェアの機能に頼るだけではなく、第三者が3次元CADデータを受け取った際に困らないように、モデリング手法や運用方法をルール化することも重要である。できるだけ微小な面や面がねじれやすい鋭くとがった三角形の面をつくらないようにするなど、モデリングする人が気を付けることで不具合を未然に防ぐことができる。設計者は次の工程や製品を使用する人のことを考えて、形状を考えたり、モデリングをしたりすることが大切である。今回の記事が少しでも今後の参考になれば幸いである。