機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」
2025.04.25
第11回 3次元モノづくりに関する資格取得について、実体験からのアドバイス
いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記
3.「3次元設計能力検定試験」(図3)
図3 3 次元設計能力検定試験の公式ホームページ画面
「3次元設計能力検定試験」は、特定非営利活動法人3 次元設計能力検定協会が主催する検定試験。3 次元設計技術者として必要な3 次元CADのオペレーション能力、機械設計の基礎的能力を客観的で公平に評価することを目的としている。3 次元CADは実技試験、それ以外の科目は筆記試験になる。実技試験は、SOLIDWORKS やCATIA、Autodesk Inventor、Autodesk Fusion 360などで受験できる。
試験には、以下の3つのコースがある。
① 3 次元CADコース―3 次元CADのオペレーター向け
受験科目:3次元CAD実技
② 図面作成コース―3 次元CADを使った製図技術者向け
受験科目: 3次元CAD実技、JIS製図法、公差設計の3科目
③ プロ設計者コース―3次元設計技術者向け
受験科目: 3 次元CAD実技、機械設計7 つ道具
(JIS製図法、公差設計、機械材料、強度設計、要素設計、信頼性設計、加工法)の8科目
プロ設計者コースの場合は、3 次元設計能力のバランスを示すレーダーチャートが示される(図4)。これにより、強みと弱みを知ることができる。3 次元CADコースはオンライン受験が可能、それ以外のコースも現在オンライン試験の移行準備が進められている。
図4 3次元設計能力のバランスを示すレーダーチャート
資格取得までの勉強方法については、関連書籍として「3 次元CADから学ぶ機械設計入門 初心者のための設計七つ道具」(森北出版)がある。また公式サイトから練習問題集を購入することができるため、書籍を読んで練習問題を解き、対策するとよい。
筆者の実体験からアドバイスすると、3 次元CADの使い方だけではなく、設計者として必要な知識レベルやスキルを評価する検定試験のため、現役の機械設計者や機械設計者を目指している方にオススメである。受験科目の中には計算問題も含まれるため、苦労される方もいるかもしれないが、その分挑戦しがいもあり、とてもよい勉強になるだろう。
4.「SOLIDWORKS認定プログラム」(図5)
図5 SOLIDWORKS認定プログラムの公式ホームページ画面
「SOLIDWORKS認定プログラム」は、ダッソー・システムズ・ソリッドワークスが主催する認定技術者試験。3 次元CADであるSOLIDWORKSの機能理解や操作の習得レベルを証明する資格である。試験方法は、インターネット接続によるオンラインでの実技試験になる。インターネットに接続できる環境とSOLIDWORKS が使えるパソコンがあれば、いつでも受験することが可能である。
試験のレベルは、「CSWA (Certified SOLIDWORKSAssociate)」→「CSWP(Certified SOLIDWORKSProfessional)」→「CSWPA(Certified SOLIDWORKSProfessional Advanced)」→「CSWE(CertifiedSOLIDWORKS Expert)」の順に上がっていく。出題内容はさまざまだが、指示に従い3 次元モデルを作成し、質量や重心、距離などを解答する。
資格取得までの勉強方法については、公式のトレーニングマニュアルを用いた勉強を基本とし、公式Webサイトからダウンロードできるサンプル試験問題で実力をチェックしながら進めていくとよい。インターネットに接続して、いつでも受験できるため、自分のペースで取り組むことが可能である。実際に、筆者も仕事が少し落ち着いたタイミングなどを利用して受験していた。筆者の実体験からアドバイスすると、普段の業務では使用していない機能が試験に出ることもあるので、公式のトレーニングマニュアルや公式コミュニティ「My SolidWorks」の内容を確認しておくことをオススメする。
5.「オートデスク認定資格プログラム」(図6)
図6 オートデスク認定資格プログラムの公式ホームページ画面
「オートデスク認定資格プログラム」は、オートデスク社が主催する認定資格試験。AutoCAD、Autodesk Revit Architecture、Autodesk Fusion360 の3 つのソフトウェアのユーザー試験がある。全国各地にあるオートデスク認定試験センター(ACC)で受験可能。問題文の指示に従い3次元モデルを作成し体積や距離などを解答していく。
資格取得までの勉強方法については、ACC(試験会場)で購入可能な認定試験対策本での学習や、オートデスク認定トレーニングセンター(ATC)が提供する講習などの受講も効果的である。
筆者の実体験からアドバイスすると、AutodeskFusion 360 ユーザー試験を受けたことがあるが、問題文の日本語が少しわかりづらいものもあるので、事前に認定試験対策本に取り組んだり、公式のトレーニングを受けたりなど、試験問題に慣れておいた方がよいだろう。試験は75 分で30 問が出題される。1 問2 分程度で解かなければいけないため、試験問題に慣れておかないと時間が足りなくなるかもしれない。そういう意味でも、事前に試験問題に慣れておくことが重要である。