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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2026.09.14

第32回 2次元CADと3次元CADの違いについて

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

2次元CADと3次元CADの違い 

 2次元CADと3 次元CADの比較を表2 に示す。 
表2 2 次元CADと3 次元CADの比較

表2 2 次元CADと3 次元CADの比較

 作図機能については、2 次元CADの方が一般的に優れている。図面作成については、作図機能に優れる2次元CADは隠線処理などにより見やすい図面をつくれるが、3 次元CADでは立体図を投影して三面図を自動生成でき、3 次元モデルを修正すると図面も連動して修正される。2 次元CADで2 次元図面を作成した場合、正面図と側面図が合わない図面を描いてしまったり、線を描き忘れてしまったりするなどの図面ミスが起きやすい。 

 形状の正確性に関しては、干渉や質量を容易に確認できる3次元CADの方が優れている。データ活用については、3 次元CADの方がCAEやCAM、3Dプリンタなどへ展開しやすく、幅広い用途で活用できる。しかし、3 次元CADは情報量が多いためデータ容量も大きく、データ保管には外付けのHDDなどが別途必要になってくる。 

 価格・コストは、一般的に3次元CADソフトの方が高価で、用意するPCも3 次元CADの方がハイスペックなものを要求される。実際、導入や立上げにコストが生じるが、3 次元CADの活用によるメリットが大きいことから、多くの企業で3 次元CADの導入が進んでいる。 

 習得時間については、2 次元CADはいわば“従来の製図作業をコンピュータでデジタル化したもの”といえるため、これまでの設計のやり方を大きく変える必要はない。これに対して、3 次元CADはPCの中に実際の部品や製品の立体形状を作成することから、従来の製図作業や2 次元CADでの設計のやり方に、+αの考え方が求められるため、習得に時間がかかる傾向にある。

2次元図面の必要性

 3 次元設計を行った場合、最終的なアウトプットとして、2 次元図面をつくる必要はあるだろうか。加工を外部に依頼する際に2 次元図面が必要だったり、社内での保管用に必要だったりと、それぞれの事情で2 次元設計、2 次元図面が必須な状況であることが多い。当然2 次元ならではの良さもあるわけなので、2 次元図面をいっさい作成しないというのは少々乱暴な気もする。しかし、3 次元もやって2 次元もやってでは、設計者の負担が増えるばかりである。そこで提案したいのが、“3次元モデルを正”にして仕事を進めるというアプローチである。 

 図3 に示すような「3 次元図面(3D図面)」をご存じだろうか。3 次元モデルを正とした図面方式であり、3次元モデルに直接、サイズ(寸法)や公差などを定義するものである。3 次元モデルに直接付ける寸法や記号などの注記を「3Dアノテーション(3DA)」と呼ぶ。また、製造情報を「PMI(Product Manufacturing Information)」と呼び、3次元モデルに製造情報を定義することを「MBD(Model Based Definition:モデルベース定義)」と呼ぶ。
図3  3 次元CAD「Inventor」で3 次元図面を作成している様子

図3  3 次元CAD「Inventor」で3 次元図面を作成している様子

 3 次元CADには、2 次元図面を作成するための便利な機能が多くあるが、それでも2 次元図面を作成するのには手間がかかる。2 次元図面が効果的で必要な場合もあるため、2 次元図面をいっさいつくらないのは難しいかもしれないが、設計者の負担が減るようには配慮するべきである。日本での活用はあまり進んでいないが、欧米では2 次元図面をつくらない3 次元図面によるモノづくりや、2 次元図面はつくっても簡易的なものにとどめた、3 次元モデルを「正」とするモノづくりにより、スピーディな開発が進められている。 

 日本が海外の競合に対抗していくためにも3 次元CADの活用が今後、必要だと筆者は感じている。3 次元モデルを「正」にして、“3 次元を中心にしたモノづくり”を行うためには、これまでのルールに縛られることなく、新しいルールをつくっていく必要がある。協力会社との連携や検査などの観点から変えていくのは簡単なことではないが、少しずつでも2 次元から3 次元への移行を進めていってほしい。

3次元CADの導入について 

 3 次元CADは、立体図を作成するためだけのソフトではない。立体形状にすることで2 次元の図面よりも形状が認識しやすくなるのはもちろんだが、断面を切ったり、組立性の検討や部品と部品の干渉チェックを行ったり、材料を指定して質量や重心を確認したりといったことが可能になる。3 次元CADで作成した3 次元モデルを使用して構造解析や熱、流体などのシミュレーション(CAE)、加工プログラムの作成(CAM)なども行える。最近では3Dプリンタを活用して3 次元CADで作成したモデルをそのまま3Dプリントし、物理的なモノとして手にすることも可能である。3 次元CADを活用することで、設計ミスを減らし、品質向上、コスト低減、納期短縮などにつなげることができる。 

 3 次元CADの導入は、IT システムの導入と同じである。モノづくりにかかわるすべての人が“3次元”を活用することで、その価値を最大化できる。3 次元の最大のメリットは、誰でも形状を認識でき、皆でモノづくりができることである。そして、何よりも取り組みやすく働きやすい環境を整えることが非常に重要となる。皆さまが3 次元を活用し、より良いモノづくりが行える日本になることを筆者は心から願っている。
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