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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2024.12.18

第5回 3次元CADでの設計変更

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

設計意図をフィーチャに関連付ける

 「ただつくるだけのモデリング」、「ただ形をつくればいい」という、その場その場の継ぎはぎ作業ではなく、部品の役割を考えながら、設計意図を関連付けるモデリングが理想である。よくありがちなこととして、1 つのスケッチにいろいろな設計要素を組み込みすぎると、後からの設計変更が大変になったり、1 つのフィーチャに複数の設計機能を盛り込んで形状を作成してしまうと、別の設計機能に切り替える変更が入ったときに大変な思いをしたりする場合がある。

 1つのフィーチャは、1つの設計機能に対応させる。一見すると面倒で、モデル作成に時間がかかってしまうように思える。しかし、後から設計変更があった場合、シンプルな形状を組み合わせて作成しておいた方が格段に修正対応しやすくなる(図4)。
図4 設計意図をフィーチャに関連付けるベテランのモデリング

図4 設計意図をフィーチャに関連付けるベテランのモデリング

理想と現実

 ここまで紹介したエラーの考え方は、ヒストリー型のパラメトリックモデリングの場合に起きるもので、ノンヒストリー型やダイレクトモデリングの場合、リンク関係によるエラーは起きない。ただし、リンク関係がないとなると、連動してほかの面や部品の修正が行われないため、設計変更に時間がかかってしまうケースも考えられる。

 設計変更しやすいモデリングの考え方の基本について理解したとしても、最初はうまく寸法を定義できず、定義した寸法値を変更したら意図しない形状になってしまう、というトラブルに直面することはある。最近の3次元CADにはダイレクトモデリング機能が搭載されているものが多く、定義していた寸法値とは関係なく、面を伸ばしたり縮めたりできる。こうした機能を使用することでエラーを回避できる場合がある。理想は、考えられる設計変更を予想し、設計変更が起きても対応しやすいようにしておくことだ。作業履歴を整理し、スケッチ名やフィーチャ名もわかりやすく変更しておく。ただし、これを意識しすぎると本来の設計が進まないこともある。あくまで今回の内容を基本として理解し、実際の業務の場面で臨機応変に対応してほしい。

 エラーを出さない、少なくする、ということも大切だが、エラーが起きたときにどう対処するかが重要である。エラーや警告を、放置してはならない。形状ができているから大丈夫と思っていても、きちんとリンクが連動していないことで、設計値通りの形状ができていない箇所が潜んでいたり、後々大きな問題に発展したりしてしまう。参照している要素がなくなったら、参照する要素を選択し直すなど、随時対応していくことが重要となる。

 筆者自身もかつて、設計変更に伴う3 次元CAD上でのエラーに直面し、夜中まで残業した苦い思い出がある。ただし、経験を積んでいくことで、エラー原因を特定するスピードも上がっていき、同時にモデリングのスキルも向上し、エラーそのものも減っていくはずである。苦労するケースとしては、他人が作成したデータに対する設計変更がある。その場合は作業履歴の解読から行う必要があるが、やみくもに手をつけてしまうと、どこのフィーチャの値を変更すれば形状が変わるのかがわからず、ただ時間だけが過ぎていく。作成ルールを社内で規定したり、3 次元CADのパラメータ機能をうまく活用したりすることで、これを解消できることもある。

 設計変更によるエラーをゼロにすることは難しいが、今回紹介したことを基本的な考え方として、修正の工数をできるだけ減らせるように、経験を積んでいってほしい。
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