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プレス技術 連載「我が社の現場DXはじめの一歩」

2025.03.17

第2回 SiO シリーズでできること

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企画=ものづくりライター 新開 潤子(オフィス・キートス)
文=山田 綾子(SUS ㈱)
協力=SUS 株式会社

基本の「入出力制御」に機能をプラス SiO の最新ラインアップ

 続いてSiO シリーズのラインアップとそれぞれの機能について紹介していく。現在、SiO シリーズは大きく4 種類のタイプに分類できる(図5)。この後本文中に登場する、各ソフトウエアについては表1 にまとめたので、こちらも合わせてご覧いただきたい。
図5  SiO シリーズのラインアップと代表的なアイテム。価格はいずれもSUS オンラインストア「ウェブサス」で購入した場合の金額を記載した。

図5  SiO シリーズのラインアップと代表的なアイテム。価格はいずれもSUS オンラインストア「ウェブサス」で購入した場合の金額を記載した。

表1  SiO シリーズ用の主なソフトウエア一覧

表1  SiO シリーズ用の主なソフトウエア一覧

1.入出力点数から選ぶ「標準モデル」

 1 種類目は先述した「入出力制御」のみを行う標準モデルだ。コントローラ本体に内蔵した端子台の差込口の数が異なる複数の機種があり、最大のSiO-N3 では16 点/ 16 点に対応。実現したい改善の内容に対し、使いたい入出力機器の点数に合わせたものを選んで使用する。

2.SiO 同士をつなげる「マスターコントローラ」

 2 種類目は標準モデルの中でも、名前に「N」がつくSiO ネットワーク対応機種を最大8 台接続でき、まとめて制御をすることが可能なモデルだ。MiO コントローラという名称で、MiO 単体では「入出力制御」はできない。プログラミングには、複数台のSiO コントローラ用のプログラムを一括で処理できる「MiO︲Programmer」という専用ソフトウェアを用意した。このソフトウェアの基本的な仕組みはSiO︲Programmer とほぼ同じである。

 MiO に入力・出力点数が16 点/ 16 点のSiO︲N3 を8 台つなげると、最大128 点/ 128 点までの入力・出力機器を扱うことができ、単品のコントローラでは制御したい機器が接続しきれない時に活躍する。なお、この後3 番目に紹介する「IoT モデル」と同様、Ethernet 通信機能も備えており、IoT 化にも対応した機種となっている。

3.パソコンと連携可能な「IoT モデル」

 3 種類目は標準モデルにEthernet 通信機能を追加し、専用ソフトウェアの「IoT︲Monitor」によるパソコンとの連携を可能にしたIoT モデルだ。製品名には「t」がつき、SiOt シリーズと呼ばれる。本連載の第1 回で、ものづくりライターの新開氏がトレーニングキットを購入し、プログラミングに挑戦していたのはこちらの機種である。

 SiOt では基本の「入出力制御」に加え、LAN ケーブルまたはWi︲Fi 機器を介してIoT︲Monitor をインストールしたパソコンと通信することが可能。入出力機器のON/ OFF 信号に合わせて「メール送信」や「ログファイル保存」といった処理を実行することができる(図6)。また逆に、パソコンからSiOt に信号を送り、現場の出力機器を動かす「遠隔制御」にも対応している。なお、IoT︲Monitor も使用にあたってプログラミング言語などの専門知識は不要。あらかじめ用意されている23 種類の機能(function)の中から使いたいものを選び、日本語で必要な設定を行うだけで簡単に現場のIoT 化を実現できるため、簡易的な「現場の見える化」などスモールDX に適した機種といえる。
図6  SiOt とIoT-Monitor の活用イメージ。現場の入出力機器の状態に合わせてパソコンにさまざまな処理を実行させることができる。

図6  SiOt とIoT-Monitor の活用イメージ。現場の入出力機器の状態に合わせてパソコンにさまざまな処理を実行させることができる。

4.数値制御に対応した「フラッグシップモデル」

 最後は、各種計測機器やバーコードリーダから「数値・文字列データ」を取り込んでプログラミング時の条件設定に使ったり(写真1、写真2)、コントローラ本体にmicroSD カードを差し込んで、直接ログを保存したり(写真3)する機能を追加したSiO シリーズのフラッグシップモデルだ。製品名には「X」がつきSiOX シリーズと呼ばれる。2024 年4 月に発売したばかりの最新機種であり、開発にあたってはSiO シリーズの発売後、約8 年が経過する中でユーザーの方々から寄せられた要望を詰め込んだ。
写真1  SiOX と電子量りの接続イメージ。シリアル通信(RS-232 規格)機能を備えた機器と通信可能。(写真提供:SUS㈱)

写真1  SiOX と電子量りの接続イメージ。シリアル通信(RS-232 規格)機能を備えた機器と通信可能。(写真提供:SUS㈱)

写真2  SiOX による製品バーコードの読み取りイメージ。スキャンした文字列に対して「完全一致」「部分一致」などの判定を行うことができる。(写真提供:SUS㈱)

写真2  SiOX による製品バーコードの読み取りイメージ。スキャンした文字列に対して「完全一致」「部分一致」などの判定を行うことができる。(写真提供:SUS㈱)

写真3  本体上面の右端にmicroSD カードを直接差し込むことができる。ログを書き出す条件はあらかじめSiOX に登録しておく。(写真提供:SUS㈱)

写真3  本体上面の右端にmicroSD カードを直接差し込むことができる。ログを書き出す条件はあらかじめSiOX に登録しておく。(写真提供:SUS㈱)

 SiOX は、計測機器やバーコードリーダと直接通信をするための差込口を備えており、例えば出荷前検査などで「梱包物の重さを測定し、指定した範囲から外れている場合にランプで警告を出す」といった制御を簡単に行うことができる。接続した入出力機器のON / OFF 状態のみを取得する仕様だった従来のSiO シリーズに対し、数値・文字列データなどを扱うことができるようになったのが大きな特徴で、あらかじめコントローラに登録しておいたデータとの比較や一致判定に基づく制御を行うことが可能だ。これにより入出力制御だけでは難しい、少し複雑な条件設定が容易となった。

 プログラミングには、数値や文字列データを活用するための新機能を実装した「SiO︲XProgrammer」という専用ソフトウェアを使用する。SiOt と同様にEthernet 通信機能も備えており、IoT︲Monitor を使ったパソコンとの連携にも対応した「全部入り」モデルとなっている。
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