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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.05.12

高度な金型技術を背景にプレス品の高付加価値化を実現 顧客の課題解決に邁進する

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㈱三陽製作所 専務取締役
近藤章夫氏

『プレス技術』編集部

どんな製品をつくっていますか。

近藤

二輪や四輪用の機能部品の製造を得意としています。部品自体が機器の中で重要な役割をもった部品も多く、中には重要保安部品とされている部品もあります。特に自動変速機(AT)の油圧制御バルブに使うセパレートプレートは現状、当社の売上げの60 ~ 70% を占め、世界シェアでもトップ、AT 車の4 台に1 台には当社のプレートが使われています。
自動車用機能部品サンプル

自動車用機能部品サンプル

セパレートプレート部品の特徴は。

近藤

板厚1.0 ~ 1.2mm、厚いものでも2.0mmまでの冷間圧延鋼板にたくさんの穴があいているプレート部品です。板厚1.0mm と1.2mm に対して、それぞれφ 0.6 とφ 0.8 の穴が100 ~ 150 カ所もあけられていますが、その状態でもプレートには高い平坦度が求められます。この精度が悪いとバルブボディでプレートを挟んだときに隙間ができ、油圧の変動時に油がリークして変速できなくなるからです。そのほか加工時の打痕やキズ、耐摩耗性を付与するための熱処理による変寸への対策、あるいは仕上がりのばらつきを抑えるための素材化学成分のコントロールも必須となり、これらの要件をすべて量産金型にフィードバックできるというのが当社の強みです。
セパレートプレートサンプル

セパレートプレートサンプル

プレートをつくるきっかけは。

近藤

1968 年、あるOEM メーカー様がAT 車を開発する折、当社がプレート(バルブプレート)の開発・製造をお手伝いさせていただいたのがきっかけです。板厚1.2mm の硬い素材に板厚以下φ 0.8mm の穴をあける必要がありましたが、当時はプレスで板厚以下の穴をあけるのは常識外れであり、他社が二の足を踏んでいる中、当社が手を挙げました。苦労の末、うまく軌道に乗って量産できるようになると、その評判が呼び水となり、多くのお客様との取引きに広がっていきました。

積層コアの加工に挑戦されています。

新實

EV・エンジン車向けを問わず、冷却用の電動ウォーターポンプ、電動オイルポンプ、また電動パーキング用ブレーキなどさまざまな電動系ユニットに搭載されるモータ部品の供給を目指しています。EV 時代に必要なのは何も駆動用モータだけではありません。実際、さまざまな電動系ユニットを分解すると積層部品に限らず多くのプレス部品で構成されています。それらの部品の量産では実質20 μ m 以下の公差管理が求められたり、わずかなバリやだれも許されない部分もあったりします。なので、量産の成否は結局「金型」に掛かっています。当社が培ってきた材料成分や熱処理まで考慮した工程設計や金型ノウハウが活きてくるはずだと考えています。

積層部品用に高速プレスを導入しました。

近藤

今年4 月末に220t の高速プレスを導入しました。素材の電磁鋼板の板厚は通常0.5mm、薄いものだと0.2 ~ 0.3mm となり、これを極小クリアランスで抜き続けます。一つのコアブロックをつくるのに小型のものでも十数枚の電磁鋼板を積層することになるため生産性を考慮すると高速プレスは必須でした。これまで当社では高速プレスを使った経験はありませんし、さらに金型的にも積層・かしめなど新たな要素が必要になるなど未知への挑戦となります。すでにさまざまな課題が見えてきて、わくわくしているところです。
新規導入した高速プレス(山田ドビー製)

新規導入した高速プレス(山田ドビー製)

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