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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.05.12

高度な金型技術を背景にプレス品の高付加価値化を実現 顧客の課題解決に邁進する

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㈱三陽製作所 専務取締役
近藤章夫氏

他社製金型の保管・スタンピングサービスを開始

さらなるチャレンジは。

新實

昨年から他社製金型の保管とスタンピング事業を開始しました。金型をお預かりして定期的にスタンピング・納品するサービスです。お客様から手もちの金型を引き継いでくれないかと相談をもち掛けられ、それならばと、本社や近隣に保有する敷地に金型倉庫を更新して事業化しました。補給品に対するアフタービジネスという位置付けでお客様に売り出しています。
自動倉庫を更新した金型保管倉庫

自動倉庫を更新した金型保管倉庫

他社の金型を使ううえでの苦労は。

近藤

古い金型も多いので苦労はあります。ですが、それ以上に勉強にもなります。当社になかった技術を見ることができるチャンスでもあるからです。同じ機能を実現するにしても、金型の構造・つくり方は千差万別です。当社のつくり方のほうが理に適っていることもありますし、そうでない場合もあります。それを確認することが、結果的に当社の引き出しを増やすことにつながります。

育成面での取組みは。

新實

一つは、一人ひとりに今までとは別の視点をもってもらう試みを始めています。例えば、営業や品証のキャリアをもつ二人をあえてトレードし、それぞれ両方の視点を備えてもらいます。品質のことも営業のこともわかっていれば、より高い次元で課題解決ができるからです。お客様に対して懸念事項を理論立てて説明することができるだけでなく、代替案を示すこともやりやすくなるはずです。

10 年後の自分たちのために

近藤

もう一つは、試作(開発)部隊があるので、そこでなるべく若手社員にかかわってもらうようにしています。たとえば、中堅社員と若手社員とでペアを組んで開発させるなどです。できあがったものは、おそらく完璧なものにはならず、量産に移行しようとすると種々の問題が起こります。傍から見ていて足りないと思うことはたくさんありますが、多少のことには口を出さず、問題点が発覚してから手助けしています。明らかな適任者がいても、あえて別のメンバーに取り組ませることもあります。100% でなくても70%あれば開発の段階でなら未遂で済むのでお客様にも迷惑をかけません。失敗をしない道を選べば、確かにリスクは抑えられますが、反面、成長の芽を摘むことになりかねませんし、不確定な時代だからこそ、あえてリスクを取ったほうがよいケースが増えてくるのではないかと見ています。
 当社の看板であるセパレートプレートを生んだ先達も絶対できないと言われた技術を攻略し、さらに標準化までしてくれました。今、100 年に一度といわれる変革の時代にわれわれはもう1 回何かを生まないといけなくなっています。逆に言えば、今度は自分たちが10 年後のレジェンドメンバーになれるチャンスと言えます。そのためには今が踏ん張りどころだと思っています。
こんどう あきお:1965 年生まれ。59 歳。1984 年、三陽製作所入社。技術部を経て、2022 年、専務取締役就任。家族は妻と三男。趣味は野球。
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