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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.05.12

高度な金型技術を背景にプレス品の高付加価値化を実現 顧客の課題解決に邁進する

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㈱三陽製作所 専務取締役
近藤章夫氏

新たに導入したナックルプレスの狙いは。

近藤

いわゆる「つぶす」「張り出す」などといった加工を目的に昨年9 月に導入しました。順送型に必要なベッドサイズを確保するため400t を選択しました。一般的なクランクプレスでは、荷重の一部がボルスタに逃げたり、スライドをたわませるなどしてつぶしきれないことがあります。サーボプレスという選択肢もありましたが、長い目でみるとシンプルな機構であるナックルプレスに軍配が上がりました。さっそく、電磁弁に使う深絞りカバーの加工を開始します。もともとは他社がトランスファプレスで20 工程ほどをかけて製造していた部品ですが、これを順送化しました。深さは50mm 以上と深く、肉厚も3 段階で可変していくので、ナックルプレスのモーションが活きてくる部品でした。今後、さらに板厚変化の大きい部品にもチャレンジしていくつもりです。
導入したナックルプレス(アマダ製)

導入したナックルプレス(アマダ製)

タンデムライン

タンデムライン

あえて他社が嫌がる仕事を引き受ける

創業のいきさつは。

近藤

当社は1957 年に創業者(初代社長鈴木繁氏)によって創業されました。当時、初代は勤務していた浜松の部品メーカーの刈谷工場長という立場でしたが、マーケティングの不調から刈谷工場の閉鎖が決まったのちも居残り、工場を借り受けて独立するかたちで当社を立ち上げました。

創業当初は何をつくっておられたのですか。

近藤

二輪車部品からスタートしました。知人を介して、あるOEM メーカー様からバイク部品の引き合いをいただき、製造したパイプ加工品をバイクの荷台に載せて納品したと聞いています。その後、そのメーカーから超高精密ワッシャの加工を受注、この仕事が当社の金型づくりの原点となりました。単なるワッシャではなく、内側に少し出っ張りのあるワッシャで爪が3 カ所出ている異形状のワッシャでしたが、とにかく板厚に厳しく、購入した素材自体のばらつきを矯正するために一度つぶしてから使わなければならなほどでした。この仕事を通じて、あらためて金型の重要性を認識、専門部隊を設立し、1982 年にはこれを独立させました〔現 ㈱三陽ダイクリエイト〕。当初、金型の半分はまだ外部の金型屋さんに依頼していましたが、その金型屋から学びながら力を付けていきました。

あえて他社の嫌がる仕事をされています。

近藤

自動車部品の世界で、すでに後発だった当社が生き残ろうと思えばそれしか選択肢がなかったのだと思います。当時、すでにどの部品をどのメーカーがつくるか住み分けが固まっていた状態でした。なので、われわれは他社ができない加工や、誰の目からもメリットのあるVA 提案をしてお客様にアピールするしかありません。実際、先達もバイク屋さんに行って修理しているところを観察しながらアイデアを練っていたそうです。

提案型営業のDNA

営業面での特徴は。

新實

営業の折に聞いてきたお客様の困り事になるべく早くレスポンスするようにしています。休憩室で顔を合わせた折に近藤に伝え、早ければ翌日にはお試しの無償サンプルをつくってもらうといった具合です。さっそく、お客様のところにもっていくと、そこからどんどん話が深まって、気づいたら試作はすでに当社で決まっているケースも珍しくありません。こうしたフローが可能になるのは、部署間の垣根が低く。営業と製造、あるいは職制に関係なく話ができる社風にあります。部署間の壁はたぶん同規模の他社さんに比べて低いのではないかと思います。なので、実行・判断のスピードも早く、今日もってきた案件の方向性を今日中に決めて、明日には具体的な方針が決まるというぐらいのスピード感があります。
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