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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2024.11.15

自社製品開発の経験を通じてソリューション力を強化顧客の課題解決に貢献する

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㈲早野研工 代表取締役
早野文仁氏

お客様から来ていただく営業を展開

編集部

創業当初の作り物は。

早野

1983 年、大手プレス加工メーカーの試作板金課に勤務していた父親(早野一己氏)が独立して岐阜県大垣市で創業したのが当社のはじまりです。当初はプレスによる自動車部品の試作がメイン。試作型を作ってスタンプ、さらに3 次元レーザで穴あけ、トリミングするといった仕事です。

編集部

ご自身の入社の経緯は。

早野

92 年、父親の急逝に伴って、後を継ぐために入社しました。大手事務機メーカーに入社した2 年目の23 歳の頃です。とりあえず母親(早野慈氏)が社長になったのですが、その体制を継続するわけにもいかず、戻ってくることにしました。
当時、5 ~ 6 人いた従業員はすべて辞めてしまい、自分と母親2 人での再スタートでしたが、タレパン、レーザ…など設備が増えるごとにお客様も増え、会社を立て直している喜びを実感できました。前職ではシステム設計部門に在籍していましたが、今思うと実際に手を動かしてモノを作っているほうが性に合っていたのかもしれません。

編集部

どのように立て直されましたか。

早野

当時金型メーカーにいた弟(専務取締役早野民智夫氏)を誘って入社してもらい、そのタイミングで腹を括ってタレパンとプログラム装置を導入しました。当時、機械がなくて受注できないことが多かったのですが、逆を言えばそれがあればいくらでも仕事が取れるという自信はありました。社員3 人の会社が高額な機械を買ったので銀行には驚かれましたが、それがないと始まらないと思っていましたし、プログラム作成も得意でしたので勝算はありました。
専務取締役 早野民智夫氏(左)

専務取締役 早野民智夫氏(左)

編集部

集客はどのようにされましたか。

早野

父親の時代からのお客様に加えて、一つ、ひとつ新規顧客を積み上げていきました。近隣の会社に営業を掛けるとお客様から顧客を奪ってしまう恐れがあるため、あえて遠くの会社にアプローチするなど苦労を強いられましたが、インターネットが普及してくると自分である程度情報を仕入れて精度よく営業することができるようになりました。
今は自分から「仕事をください」とお願いしに行くのではなく、お客様からアプローチいただくような仕組みを作るようにしています。人手の少ない中小企業でもHP やSNS で手軽に情報発信できる時代です。当社でもコンテンツの充実を図るために専任者を付けて取り組んでいます。中小企業では珍しいかもしれませんが、頻繁に更新し密な情報発信をしていくためには片手間ではできないと考えているためです。

新たなつながりが財産になる

編集部

自社製品開発に力を入れています。

早野

2021 年東京ギフトショーでグランプリを受賞した焚き火台「Fire Base」をはじめ、グリル台やプレートといったアウトドアギア「HotCamp」シリーズや、各種インテリア・雑貨などを発売しています。製品ラインナップについては今後もできるだけ増やしていくつもりです。
きっかけは展示会にPR のつもりで作った雑貨を出展したところ、その場で購入したいという方が現れたことです。以降、社員のモチベーション向上につなげるつもりで継続して自社製品を作り、EC サイトを通じて販売してきました。昨年には室原工場の一画にアンテナショップを新設、自社製品を中心に一部他社製品も含めて直接展示・販売しています。他社製品ついては、実店舗を持っていないと卸してもらえないケースもあるようです。
焚き火台「Fire Base」とプレート「極厚プレート」

焚き火台「Fire Base」とプレート「極厚プレート」

プレート「スリットプレート」

プレート「スリットプレート」

編集部

B to C に取り組んで良かったことは。

早野

一つは、製品をお客様に使ってもらっているという実感が得られたこと。製品のキズが気にするようになるなど社員の意識が変化したほか、新卒の採用にも好影響があると感じています。もう一つは新たなつながりができたこと。実際、自社製品を作るようになって、「こういうのできませんか」という個人からの相談を多くいただくようになりました。さまざまな要望に応えるためにこれまでお付き合いのなかった加工メーカーとのつながりも生まれ、それに伴って当社自体のレパートリーも増やすことができました。
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