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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2025.08.06

第15回 3次元CAD操作習得に向けた人材育成について

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

最も重要なことは「復習」

 学生時代に先生から予習と復習が大切だと教わったかと思うが、3 次元CADのトレーニングを受ける場合には、特に“復習が重要”になる。トレーニングを受けているときは、理解したつもりでいても、職場に戻って1 週間もすると忘れてしまうケースが多くある。どんなトレーニングでもいえることだが、せっかくお金を払い、貴重な時間を使って学びに行ったのだから、忘れてしまう前にできるだけ早く復習をした方がよい。特に、会社の代表としてトレーニングに参加したのであれば、その責任も重大である。

 時間のことに触れたが、会社側として、トレーニングを受ける機会を与えるだけでなく、必ず復習をするための時間も確保してあげる必要がある。復習する時間をうまく確保できなかったために、3 次元CADの操作習得が進まず、社内の3 次元化が思うようにいかなかったというケースも少なくない。3 次元CADを操作できる環境がない場合、教科書を眺めたり、動画コンテンツを視聴したり、講習で学んだことを振り返ってみるだけでも、3 次元CADの習得に近づくことができる。

 図3 に3 次元CAD導入の際のスケジュール例を示す。管理者は定期的に学習スケジュールの進捗をチェックするように努め、習得から活用へとマネジメントしていく必要がある。
図3 3 次元CAD導入から習得までにおけるスケジュールの例

図3 3 次元CAD導入から習得までにおけるスケジュールの例

 復習しているときに問題となるのが、操作がどうしてもうまくいかない、よくわからないエラーが発生してしまったといった場合である。トレーニングを受けているときはできたのに、会社に戻って同じことをやろうとしたらうまくいかなかったというのはよくある話である。

 よくある原因としては、「トレーニングで使った3次元CADの設定と、社内の設定が違っていた」、「使用している3 次元CADのバージョンが異なっていた」などが考えられる。解決への近道は“わかる人に聞く”ことである。トレーニングしてもらった講師に質問できるのであれば聞く。それができない場合には、3 次元CADベンダーや代理店へ問い合わせるとよい。また、SNS上のコミュニティなどに投稿することで回答が得られるかもしれない。また、3 次元CADを導入した際には、有料にはなるがサポートサービスへの加入をお勧めする。サポートサービスに加入していれば、電話やメール、チャットなどですぐに質問できる。

 講習を受け、復習も行い、習ったことを理解したら、いよいよ実践となるわけだが、思い通りにいかないことも多くある。「トレーニングで習った3 次元モデルはつくれるが、自社製品の3 次元モデルをつくろうとしたらうまくつくれない」という困り事は珍しくない。3 次元モデルのつくり方は多種多様で、その形状ごとでつくり方が変わってくる。コマンドの使い方は理解できたとしても、自分がつくりたい形状を何のコマンドを使ってつくったらよいかを考えることができるようになるには、日々の鍛錬が必要である。もちろん、コツやポイントもあるが、少しずつ実践経験を積みながらスキルアップを図っていく必要がある。

 3 次元CADの基礎的な操作やコマンドを習得できたとしても、自分のイメージした形状をカタチにできなければ意味がない。どのようにすれば目的の形状をつくることができるのかがわからないと、“設計という本質”に時間を使う代わりに、「どのように形状をつくればよいのか」に時間が消費されてしまう。

 そうならないためにも基本となる型を学び、繰り返しの練習を行うことで「モデリング」という作業をマスターし、さらにモデリングにおけるいろいろなつくり方のパターンを学び、さまざまな場面で臨機応変に対応できるスキルを身に付けていく必要がある。

 モデリングの練習では、自社製品を題材に行うのもよい。また、ネットやYouTubeなどの題材をまねしてつくってみるのもよいだろう。また、自分が好きなモノを題材にすれば、楽しみながら練習を積むことができる。3 次元CADの操作/モデリングを習得するには、とにかく復習が一番重要である。反復練習しながら自分のスキルを磨いていってほしい。
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