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型技術 連載「巻頭インタビュー」

2025.04.02

長年培った金型設計・製作技術を強みに未踏の領域ギガキャストに挑む

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リョービ㈱ ダイカスト企画開発本部 研究開発部 部長
新田 真氏

Interviewer
日産自動車㈱ 
パワートレイン・EV コンポーネント生産技術開発本部
素形材・成形技術開発部 型技術グループ 課長代理
佐藤武志氏

 EV 開発・製造の進展に伴って自動車業界で大きな注目を集めるギガキャスト。そのギガキャストにダイカスト専業メーカーとして国内で最初に参入したのがリョービだ。今年3 月には菊川工場(静岡県菊川市)でギガキャスト向けの新工場が稼働する予定。昨年12 月に完成した広島本社敷地内の新社屋で、ギガキャスト技術の研究開発に携わる新田真氏に話を聞いた。
※本記事は2024年12月9日実施の取材をもとに作成。

佐藤

まずは新田様のご経歴をお聞かせください。

新田

日本大学で機械工学を学んで修士課程までいったのですが、4 年生の卒業研究以降は金属材料に切り替えて、主にマグネシウムの溶湯鍛造と言われるスクィーズキャストに関する勉強をしました。その関係もあって1992 年に、ダイカストを事業の柱にしている当社へ入社しました。入社後は東京都北区にあった研究所へ配属となり、ダイカストに関する修行のようなことを約6 年間行いました。
その後、グループ会社のリョービミラサカへ出向し、崩壊性砂中子を使ったV6 ディーゼルエンジンのシリンダーブロックの量産を目指すチームに加入しました。それが私にとって初めて量産にこぎつけた経験です。そこで12 年間ほど鋳造技術や品質保証の仕事に関わったのですが、2010 年に中国で2 つ目の生産拠点が常州市にできることを受けて、その立ち上げメンバーとなりました。1 年ほど日本で準備し、2011~14 年まで新工場の立ち上げに関わりました。帰国後は品質保証部を経て研究開発部の所属となります。会社の外に出ていろいろな仕事に関わる期間が長く、多くの経験をさせてもらえたことが今の私の肥やしになっています。

御社の沿革と現在の事業概要についてもお教えいただけますでしょうか。

当社は1943 年の創業で、2023 年に創立80 周年を迎えました。三菱電機福山工場から「軍需部品のダイカストをやってみないか」とお声がけがあり、創業者の初代社長がダイカストの「ダ」の字もなかったこの備後地方に工場を建てたのが始まりです。社名の由来も三菱の「菱(りょう)」と備後の「備(び)」で創業の経緯が反映されています。
ダイカストは受注産業で業績が顧客の景気に左右されやすいため、印刷機器や建築用品、釣り具や電動工具などの完成商品の製造にも事業を広げました。ただ、その多くはすでに他社へ譲渡していて、現在では売上げの8 割以上を占めるダイカストを大きな柱として、ドアクローザーやヒンジなどの建築用品、印刷機器の3 事業を行っています。ダイカストは9 割が四輪車向けの部品です。生産拠点は府中市内に本社工場と広島東工場が、静岡県に静岡工場と菊川工場があります。海外では米国とメキシコに工場があるほか、中国は大連市と常州市、欧州は北アイルランド、あとタイにも拠点があります。

今挙がった菊川工場でギガキャスト向けの新工場ができますね。この新工場について教えてください。

新工場は今年3 月の稼働予定で準備の最終段階に入っています。ギガキャスト向けに採用した機械はUBE マシナリー(山口県宇部市)の型締め力6, 500 t の鋳造機1台です。鋳造機はもちろん、現場で使用するさまざまなものが従来に比べて大きいこともあり、建屋をつくるところから始めました。敷地内は鋳造工場と金型工場、さらに出来上がった製品の後工程と検査を行うエリアと大きく3つに分けています。 当社がギガキャストを手がける狙いとしては、これまでにない大型ダイカストの一体成形技術を身につけるということが一つ、もう一つは国内のお客さまからの「ギガキャストを検証したい」という要望に対して国内で支援させていただくことの2 点が挙げられます。そのため新工場は試作目的の工場と位置づけていて、現時点では量産を計画しているわけではありません。

広島の生産拠点ではなく菊川工場を選んだのはやはり輸送の問題ですよね。

はい。型締め力6, 500 t となると一番大きな鋳造機の部品で100 t くらいになる。UBE マシナリーの工場は海辺にありますから、船で御前崎港へ海上輸送してそこから菊川工場までの約20km を陸送します。菊川工場以外の拠点ではそれだけ大きなものを陸送するのは厳しく、同程度の重さの金型を今後運び入れることも考えると菊川工場が当社にとって唯一の場所であったということです。
UBE マシナリーの工場で行ったギガキャストのテストの様子(写真提供:リョービ)

UBE マシナリーの工場で行ったギガキャストのテストの様子(写真提供:リョービ)

UBE マシナリーを選んだ理由は何ですか。

いくつかあるのですが、当社ではUBE マシナリーの機械を多く採用しており、当社独自のいわば「機械の味付け」についても普段から対応してもらっていて、当社の考えや意図などを深く理解してくれているところが大きいですね。また、UBE マシナリーの機械は射出力が比較的高くて、今回は射出制御系も少し強化しているという部分も魅力でした。あとは、どうせやるなら日本のメーカーとやりたいというところも多少なりともあったのかなと思います。

設備がある程度統一できているというのは強みですよね。設備がバラバラだとそれだけで調整が必要になってくるので、機械を揃えられるのはすごいなと思います。
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